例年以上に暑い夏を迎え、炎天下でトレーニングに励んだ体には、疲れもたまってきているのではないでしょうか。効果的なトレーニングを継続する上で、傷害予防、疲労回復が重要であることは言うまでもありません。今回は一人でできるセルフケアの方法として、ストレッチとマッサージについて紹介します。

ストレッチの効果

ストレッチとは意図的に筋肉や関節を伸ばす運動です。準備運動や整理運動の一つとして毎日行っている方も多いと思いますが、その効果まで意識して行っている人は少ないのではないでしょうか。ストレッチの効果として以下の5つが挙げられます。

1. 筋緊張の低下
2. 関節可動域(柔軟性)の改善
3. 血液循環の改善
4. 筋肉痛などの疼痛の緩和
5. 傷害予防

筋肉が持続的に伸張すると、筋肉のつっぱり感を感知するセンサーが刺激され、その信号が脊髄を介してストレッチをしている筋肉の緊張を低下させます。また、体の柔軟性を高め、関節が動く範囲を広げることは、ケガの予防にもつながります。さらに、ストレッチをすることで血液の流れが良くなり、効率よく酸素が供給され、疲労が回復しやすくなります。

ストレッチの方法

呼吸は止めずに、抵抗感を感じるくらいの強さで、伸ばしている筋肉を意識しながら10〜15秒間行います。1回で効果が見られない時は数回行いましょう。 疲労度によってセット数を増やしたり、下肢の大きな筋肉は長めに、上肢の筋肉は短めにと、その日のコンディションや部位に応じて使い分けてみましょう。
反動をつけたり、強すぎるストレッチは、伸張反射により逆に筋緊張を促進してしまうので注意しましょう。また、一度に30秒以上続けて長いストレッチポーズをとると、関節や他の軟部組織まで伸ばされてしまい、違和感が残る場合もあるので注意して行いましょう。

※伸張反射…筋肉が瞬間的に過度に伸張された際、反射的に筋肉が収縮する現象をいいます。筋肉が緊張している時はこの反射が起こりやすいので注意が必要です。

クライオストレッチ

クライオストレッチはアイシングとストレッチを組み合わせて行う方法です。筋肉は痛みや疲労が激しくなると、緊張が増して伸びにくくなる特性があります。そこでアイシングをすることで緊張を緩和することができ、ストレッチしやすくなります。疲労が激しかったり痛みがあり、筋肉が硬くこわばっている状態で、通常のストレッチではなかなか筋肉が緩んでこない時に有効です。
一般的な方法は、ストレッチをする前に、伸ばしたい筋肉をアイスパックで10〜15分冷やします。 氷を外してから通常のストレッチをしてみましょう。

アイシング(10〜15分)cryo1
ストレッチcryo2

痛みが強く、熱感などがある場合のストレッチは危険ですので専門医に相談しましょう。

マッサージ

マッサージは、基本的にはペアで行うことが多いかと思いますが、今回はテニスボールを使用した一人でもできるセルフマッサージを紹介します。
テニスボールを2個用意してテーピング等でしっかり固定し、腕や脚の上をコロコロと転がすようにマッサージします。腰背部などは仰向けに寝て床との間にテニスボールを入れて体を揺らしてマッサージを行います。
ペアマッサージが行えない時などに試してみてください。

テニスボールtennis1
大腿四頭筋tennis2
ハムストリングスtennis3
脊柱起立筋tennis4

トレーニングはもちろん重要ですが、トレーニング以外のところで、どれだけ自分の体をケアできるかで勝負は分かれるといっても過言ではありません。疲れがたまりやすい今の時期に、もう一度自分の体と向き合ってみてはいかがでしょうか。


参考文献
「IDストレッチング」三輪書店
「アスリートのためのコンディショニング」陸上競技社
「スポーツアイシング」大修館書店