試合で勝つために、または自分の記録を伸ばすために、毎日何時間も練習したり、様々な練習を試しているのにも関わらず、一向に成果が現れてこないと感じる人は多いのではないでしょうか。こんな時は、練習量や技術練習の改善ばかりに取り組むのではなく、改めて「基礎体力」の構築に取り組む必要があるでしょう。

基礎体力の重要性を理解する

スポーツを実践する上で必要となるのは、それぞれのスポーツに特化した「スポーツスキル」と、その土台となる「ゼネラルスキル」です。ゼネラルスキルとは、過去のディスパッチでも何度か紹介していますが、走る・跳ぶ・方向転換などのスポーツの基礎的な運動スキルのことを指し、今回取り上げる「基礎体力」というのは、そのさらに土台となる、筋力・持久力・柔軟性・バランス能力などを指します。
基礎体力の考え方には、日常生活で必要な基本的な体力とそれぞれのスポーツで最低限身につけておかなければいけない体力など様々な捉え方がありますが、いずれにしても、この基礎体力というのはスポーツ選手に欠かせない要素であり、その土台の上に、ゼネラルスキルやスポーツスキルを積み上げていかなければいけません。

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基礎体力とは

「体力」という言葉を整理すると、そこには「運動をするための体力=行動体力」と「健康に生活するための体力=防衛体力」という、大きく2つの考え方があります。防衛体力とは、病原菌から体を守るための免疫力や、精神的なストレスから体を守るための体力を指します。
スポーツに必要な体力(いわゆる基礎体力と言われる体力)は主に、行動体力に分類され、「基礎的運動要因」と表現されます。これらの基礎体力は、「運動を力強く、速く行うための能力」や、「運動を長く続ける能力」、「運動を調整する能力」などに細かく分類されます。

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基礎体力を高める

競技力を高めるためには、そのベースとなる基礎体力やゼネラルスキルを高めることが重要です。中高生やジュニア期の選手の基礎体力を高める上では、競技に特化した体力要素ばかりに目を向けるのではなく、発育発達パターンを理解する必要があります。
バランス能力や巧緻性などの運動を調整する能力には、神経の働きが関係しており、運動を長続きさせる能力としての持久力は、呼吸・循環器系の働きが関係しています。また、運動を力強く、速く行う筋力や瞬発力は筋肉や骨の働きに関係しており、それぞれの能力は年齢や成長過程によって発達量が異なります。
つまり、脳・神経系が発達する小学生期は、筋力や瞬発力ばかりに目を向けるのではなく、様々な動きを経験させ、バランス能力や自分の体をコントロールする能力を中心にトレーニングしていく必要があります。
そして、中学生期(12歳〜14歳)では、呼吸・循環器系が高まる時期になることから、持久系のトレーニングなど心肺機能に対するトレーニングが有効です。さらにこの時期は身長が伸びる時期でもあります。筋肉や腱が成長する以上に骨が成長し、可動域の制限が生まれる他、体のサイズも変化します。柔軟性を高めるダイナミックフレキシビリティなどを積極的に取り入れ、適切な可動域を獲得する他にも、動きの質にも着目して、正しい動作でドリルができるように適切に指導をする必要があります。
いわゆる基礎体力を高めるトレーニングには、筋力や瞬発力、持久力といった要素が中心となり、柔軟性やバランス能力、巧緻性などの取り組みが低いように感じられます。基礎体力の向上には、どれかひとつの要素に偏ることなく、発育発達を考慮しながら全面的に高めることを目指す必要があるでしょう。

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基礎体力とゼネラルスキルとスポーツスキルは歯車

スポーツスキルの基礎になるのは、ゼネラルスキル。そのゼネラルスキルの土台になるのは基礎体力です。スポーツを実践する上では、これらの要素は歯車のように密接に関係しています。スポーツスキルばかりに磨きをかけて、走る・跳ぶなどのゼネラルスキルのトレーニングをしなければ全体の歯車の動きは悪くなってしまいます。その結果、偏った技術や体になってしまい、不調や傷害を引き起こす可能性もあります。基礎体力の重要性をしっかりと理解して、秋のシーズン、さらにはその先の冬期トレーニングに取り組みましょう。