新学期になり、新しい環境での生活が始まりました。新たな気持ちで目標を立て、当初はやる気を持って取り組んでいたとしても、日を重ねるごとに続かなくなっていく、いわゆる「三日坊主」は皆さん経験があるのではないでしょうか。なぜ継続して取り組むことができないのか。その理由は目標設定の方法にあるかもしれません。
「一年の計は元旦にあり」と言われるように、物事を始めるにあたって、まずはきちんとした計画を立てることが大切です。4月ではありますが、年度の始まりにしっかりと目標を立てて、充実した新生活をスタートさせましょう!

目標設定とは

「全国大会で優勝したい」「プロスポーツ選手になって活躍したい」など大きな夢や目標を掲げることはとても大切なことです。しかし、漠然と大きな目標を掲げるだけでは、現実との差が大きすぎてモチベーションを保つのは難しくなります。目標を達成するためには、「目標までの過程を明確にすること」が重要です。つまり目標設定とは、目標(ゴール)を決めることではなく、「目標に向けてやるべきことを明確にすること」なのです。
「大会で優勝する」という目標を立てても、大会で優勝するために必要なことやそのためにクリアしなければならないことが不明確なままでは、日々の練習で何を目的に取り組めば良いのかわからなくなってしまいます。
さらには、掲げた目標と現実とのギャップが大きすぎて、目標に近づいている実感が湧かず、モチベーションが続かない悪循環に陥ってしまいます。目標設定によってゴールまでの道標ができることで、今やるべきことが明確になり、モチベーションを保つことができるのです。

目標設定のポイント

①ゴールから逆算して考える

例えば、バスケットボールのチームが「全国大会出場!」という目標を立てたとします。目標設定では、目標達成までの期限を明確にして、ゴールから今に向かって逆算して考えてみると良いでしょう。来年の夏の大会で全国に行くのか? 2年後の冬の大会で全国に行くのか? これでも、その日にやるべきことは変わってきます。2年後の大会で全国を目指すなら、そこから逆算をして、1年後・半年後・来月・来週・今日と長期的な目標から短期的な目標へと落とし込んでいきます。
毎日の積み重ねが目標に向かうためのステップだと考え、短期目標は目につくところに貼って、常に意識できるようにしましょう。
また、目標や目標までのプロセスを確認できるように練習日誌を活用するのも良いかもしれません。

②具体的であること

目指す目標やその過程は具体的に表現することが大切です。「全国大会出場!」という目標達成に向けていざ練習を始めましたが、一体何を重点的に取り組めば良いのでしょうか。
この時に、例えば「全国に行くチームはシュート成功率が高い」という具体的なイメージができていれば、「シュート成功率が一番のチームを目指す!」というように目標に向かってやるべきことが明確になります。そこから、「シュート成功率を上げるために毎日シュート練習をしよう」、さらには「毎日シュート100本打つ」、「来年までには成功率60%」などといった具体的な数字として目標を設定することができます。

③自分に合った目標であること

目標のハードルが高すぎる場合や、自分ではない他の人に決められた目標では、成功のイメージができず、モチベーションが保てない状態になってしまいます。取り組み始めた時はやる気があったものの、目標が高すぎて成功するのは無理かもしれないと思ったり、本当にこのやり方で合っているのか分からないといった状態になってしまいます。
または、設定した目標が簡単すぎても、退屈してしまったり手を抜いたりと良い方向には進みません。自らがなりたい姿をイメージでき、「自分でも努力すればできそうだな」と思える目標設定をしましょう。

目標設定の例(高校3年生の大会で達成したい目標がある場合)

目標
2年後の目標
(高校3年生)
夏の大会で全国大会出場 
1試合平均10本シュートを決める選手になる
1年後の目標
(高校2年生)
レギュラーとして活躍する
今年の目標 シュートの成功率でチーム一番になる
半年の目標 ベンチメンバーに入る
途中出場でシュートを1本は決める
今月の目標 チームメイトの得意なプレーや自分のチーム内での役割を見つける
今週の目標 シュートに必要なジャンプ力をトレーニングする
今日の目標 練習1時間前には体育館に行ってシュート練習をする(50本)
目標設定はトレーニング計画と同様、常に完璧なものが作れるわけではありません。上手くいかない時は内容を見直して、修正することも大切です。
これは「PDCAサイクル」と呼ばれる手法で、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のサイクルを回していくことで問題点を改善しながら目標に向かって進んでいくことができます

そして、目標設定で大切なことは、結果だけではなく自分自身がどのように取り組んだかという「内容」や「努力」に目を向けることが大切です。他人と比べるのではなく、自分自身のチャレンジしたい気持ちを大事にして取り組みましょう。