夏の強化期間も残りわずかとなりました。充実したトレーニングを積むことができましたか? 普段とは違う環境あるいは生活リズムの中で、また強度の高い練習を続けてきたことで、疲労が蓄積した状態が続いていると思います。残りの期間は、体調を整えることにも気を配り、トレーニングを積み重ねましょう。今回は、よりよい秋シーズンを迎えるために、新学期に向けて準備できるポイントをお話しします。

“補食”は必要でしょうか?

疲労回復・筋肉の修復のためになど、トレーニング後の素早い栄養補給がトレーニングの効果を高めるという話はどこかで耳にしたことがあるかと思います。これも補食の役割の一つです。
補食とは、「3回の食事では足りないエネルギー・栄養素を補う『間食』のこと」です。中・高校生の時期は、3回の食事では充分に栄養を補給できないことが多くあります。わかりやすい目安として「夏場に体重が減ってしまった(減量を意図しない体重減少)」、「疲労がなかなか抜けない(疲労度が高い状況が続く)」などといった様子はありませんか? 先月号でもお話ししたように、夏場はトレーニング強度が高まることや食欲が落ちることで、一時的に運動に見合った食事量が摂れていない状況が続くことがあります。補食は食事の一部であると考え、今の状況に合わせた補食の摂り方を選択することで、身体づくりやパフォーマンスの向上に繋がります。

一言に補食と言っても用途は多様です。下の図は、栄養部門から見たジュニアアスリート育成のための段階別プログラム例を示しています。現在のチームあるいは個人の成長段階としてどのようなステップが必要になるでしょうか。憧れのトップアスリートの取り組み方を取り入れたいとき、段階・目的は同じでしょうか?秋シーズンに向け、その一部分に補食をどのように活用できるかというのは、目的・目標により多様です。

図:ジュニアアスリート育成のための段階別プログラム(例)

“いつ”、“なにを”、“どのくらい”?

今の状況に合わせた補食の選択例をご紹介します。対象年代の発育・発達の状況に合わせて選択しましょう。サプリメントに頼らず、まずは食品からエネルギー・栄養素を摂る力を身につけることが重要です。

A
目的:成長期に必要な身体づくり、不足分の栄養を補う
対象:中学生〜高校1・2年生
<いつ?>練習前・練習後
<どのくらい?>
練習前:炭水化物のグループから1つ
練習後:炭水化物グループ+乳・乳製品、果物のグループ から1つ
<POINT>成長期にはこの3つのグループを補います!

B
目的:筋肉量の増加
対象:高校2・3年生
<いつ?>練習後(特に筋力トレーニングの後、30分〜1時間の間)
<どのくらい?>たんぱく質量10gを目安に選択してみましょう。
<POINT>成長期に必要な身体づくり(上記A)が理解できたのちに、筋肉量増加となるよう、トレーニングに合わせて補食を選択します。


サプリメント(ホエイプロテイン、ビタミンD)
C
目的:リカバリー
対象:高校3年生〜
①グリコーゲンの回復 → (上記A)+(上記B)
②筋疲労の軽減 → BCAA・クエン酸

※サプリメントは、医師あるいは公認スポーツ栄養士の判断のもと使用を検討しましょう。

指導者・保護者の皆さまへ

運動部に所属する選手の皆さんだけではなく、選手を支える保護者の皆さんも忙しい中、お子さんのパフォーマンスがよくなるようにと一生懸命に考えられ、1日3回の食事を作られている、そんな苦労されている場面をたくさん見てきました。成長期の選手の皆さんにとって、よりよいスポーツ環境の一つとして「食環境」をどのように整えたらよいかをぜひ話し合ってみてください。自動販売機や購買部がある高校では飲料や食品の内容を変更することも一つの方法です。また、校則により「買い食い」ができない中学校では、部活内で「食選択」を考える場を設けることも一つの方法としてあげられます。
選手の皆さんが自分自身で「よりよい選択」ができるよう、これからもクレーマージャパンは情報を発信していきます。