寒暖差が激しい季節となりました。昨日暖かかったかと思えば今日は寒かったり、朝晩の寒暖差も大きいため体へ大きなストレスがかかります。頻繁な体温・発汗の調整を余儀なくされる中でコンディションを保ち、高いパフォーマンスを発揮するために、今回は「柔軟性」についてお話しします。寒さが増すこの季節に、柔軟性で差をつけましょう。

柔軟性を高める食べ物…?

体(関節)を柔らかくする食べ物や食事と聞かれてよく耳にするのは「お酢」ではないでしょうか。残念ながら、お酢には体を柔らかくする効果はありません。柔軟性は、体の関節を支える筋肉や靭帯、腱などで決まりますが、お酢を飲むことでこれらを柔らかくすることはできないからです。魚や肉を調理する時にお酢を使うと、酸の働きによって骨やすじを柔らかくします。お酢によって卵の殻を溶かす性質もありますが、これは卵の殻の主成分である炭酸カルシウムがお酢の酢酸によって溶かされることが理由です。このように料理に使うと確かに骨は柔らかくなりますが、人間がお酢を飲んでも骨や関節は柔らかくなりません。
お酢を飲むことでできるコンディショニングとして「疲労回復」が挙げられます。これは、お酢に含まれている酢酸やクエン酸がグリコーゲンの回復を促進し、疲労回復を一段と早めることによります。お酢を飲むことで「乳酸」を早く取り除くことができ、筋肉の張りがなくなることで柔らかくなる…とも言われていましたが、近年、乳酸は疲労物質ではなく、エネルギー源であることがわかっています。
直接的に関節や筋肉を柔らかくすることにはつながりませんが、疲労回復を促進することで、自身が持つ本来のパフォーマンスを発揮できる状況を作り出すことができます。

なぜ柔軟性?

今月号の「トレーニング」でも書かれていますが、体が柔らかいという状態は、関節が動く範囲が大きいということであり、関節を動かすためには筋肉が関係します。コンディショニングとして、柔軟性が高いことは運動時にリラックスしやすく、必要な筋肉を動かすことができるため、持久力の向上にもつながります。さらにはエネルギー消費量が高くなること、体温の上昇も期待できます。

関節を強くする、可動域を広げるために

柔軟性は体の関節を支える筋肉や靭帯、腱、骨の構造で決まります。トレーニングにより柔軟性を高め、より強度の高い動きを磨くために、より一層体の土台を作り上げましょう。
「コラーゲン」と「エラスチン」はたんぱく質の一部です。聞き覚えの無い言葉かもしれませんが、食事の中でぜひ取り入れていきましょう!

コラーゲン
コラーゲンは、骨・軟骨・靱帯・腱・皮膚・内臓・血管などに多く存在し、その役割は多様です。コラーゲンは老化しやすく、その結果、筋肉の収縮力が落ちたり、靭帯や腱が切れやすく、損傷回復が遅くなるなど、運動機能の低下、原因不明の体調不良、怪我や故障につながります。
食材…牛すじ、豚白もつ、鶏の手羽元/手羽先、うなぎのかば焼き、鮭(皮つき)、ブリ(皮つき)

エラスチン
靱帯、皮膚、肺などに存在し、コラーゲン繊維をつなぎとめる役割をしています。コラーゲンを「強靭性」とすると、エラスチンは「柔軟性」と「弾力性」を担います。エラスチンも年齢とともに減少するため、靭帯の柔軟性と弾力性が低下し、硬く損傷しやすくなります。靭帯が硬くなることで、関節の動きが悪くなり、可動域が減少していきます。
食材…コラーゲンと同様の食材、かつお、イワシやしらすなどの小魚

▷▷▷食事のポイント!◁◁◁
1.コラーゲンを作る(合成する)にはビタミンCと鉄の組み合わせが必要! コラーゲンと合わせて摂りましょう。(ディスパッチ2015年9月号ディスパッチ2016年6月号参照)
2.脂質の摂り方に注意! コラーゲンやエラスチンは脂質の割合が高い食材に多く含まれます。ウエイトコントロール中は気をつけましょう。

ぶり大根

材料(2人前)
・ブリ 2切れ(200g)
・(A)水 500ml、塩 小さじ1
・大根 1/2本
・しょうが 適量
・(B)酒、醤油、砂糖 各大さじ2

作り方
1.ブリを鍋に入れ、(A)の水、塩を注ぐ
鍋を弱火にかけて沸騰する前に火を止める
蓋をして5分ほどおく(塩水を使い低温で茹でることで、臭みを取り身が柔らかく仕上がります)
2.ブリをざるにあげ、キッチンペーパーで水気をふきとる
3.大根の皮をむいて輪切りにし、それを4等分程度に切る
4.鍋に湯を沸かし、大根を入れて10分ほど茹でる
(竹串がスッと刺さるくらい柔らかくなるまで茹でる)
5.薄切りにしたしょうが、(B)を鍋に入れ煮立たせる
6.ジッパー付きの保存袋に2のブリ、4の大根、5の煮立たせた汁を入れ、
平らにして袋の空気を抜いて口をしめる
7.冷蔵庫で1時間ほど置いたら味がしみこみ完成です!

煮込むことで時間がかかる料理も、保存袋を使用して作り置きをしておくことで短時間で調理できます。保存がきくので、常備菜として困った時の一品あるいはお弁当のおかずに!

手羽先のさっぱり煮

材料(2人前)
・鶏手羽先 6本(340〜360g)
・ねぎ 1/2本
・(A)酢、砂糖、みりん、醤油 各大さじ2
・パプリカ、チンゲン菜 適量

作り方
1.手羽先は関節から先の部分を切り離し、骨に沿って両面に切り込みを入れる
2.ねぎは3cmの長さに切る
3.ジッパー付きの保存袋に手羽先、ねぎ、(A)の調味料を入れ、平らにして袋の空気を抜いて口をしめる
4.冷凍あるいは冷蔵保存をすることで常備菜に!(冷凍庫の場合2〜3週間の保存が目安)
★ 調理 冷凍(冷蔵)した手羽先を鍋に入れ、水1/2カップを加える
ふたをして中火にかけ、煮立ったら3分間煮る
弱火にして12分間ほど汁がとろりとするまで煮詰める
パプリカやチンゲン菜と一緒に器に盛り完成!

手羽先は切り込みを入れることで味がしみこみやすく、火が通りやすくなります。骨の周りまでしっかり食べましょう! パプリカやチンゲン菜などの緑黄色野菜と食べることでビタミンC・鉄と組み合わせることができます。