冬期も中盤に差し掛かり、多くの選手やチームが、基礎体力の向上や弱点の克服に取り組んでいるのではないでしょうか。「冬期トレーニングが充実していなければシーズンで良い結果は出ない」と言われるほど重要なこの時期、最も避けたいのは疲労の蓄積による傷害と、体がトレーニングに慣れてしまうことで起こるマンネリ化です。
ディスパッチ9月号のトレーニング計画(ピリオダイゼーション)でも紹介した通り、体力を向上させるためにはトレーニングの負荷を変化させなければいけません。目標達成に向けて効率的にトレーニングを行うためにも、負荷を変化させることは非常に重要です。
今回は、「過負荷の原則」と言われるトレーニングの原則を紹介するとともに、体幹トレーニングを例に、負荷をコントロールする方法をご紹介します。

トレーニングの負荷とは?

「負荷」とはトレーニングの強度や時間によって体にかかるストレスのことを指します。この負荷という刺激に反応して、体は強くなったり、弱くなったりと変化していきます。
「過負荷の原則」というのは、「トレーニングを行うときは、ある一定以上の負荷をかけないと身体は強くならない」ということです。言い換えれば、毎日同じ練習ばかり行っていても、身体がその負荷に慣れてしまい運動効果が現れにくいということになります。
ディスパッチ9月号の中で紹介した「漸進性の原則」とは、「負荷を急激に増加させるのではなく、体の変化に合わせて徐々に増やしましょう」という内容でした。
「過負荷の原則」と「漸進性の原則」はトレーニングを行う上で非常に重要になるので組み合わせて覚えておきましょう。

負荷をコントロールする

負荷のかけ方と言っても様々な方法があり、筋力や持久力など、それぞれの体力要素に合わせた負荷のコントロール方法が存在します。

・エクササイズで扱う重量を増やす
・1セットあたりの反復回数を増やす
・1セットあたりの時間を長くする
・セット数を増やす
・セット間の休憩を短くする
・エクササイズの難度を上げる
・トレーニングの頻度を増やす
など

トレーニング例

今回は、「エルボー・トー」と呼ばれる体幹トレーニングを例に、負荷のコントロールの方法をいくつかご紹介します。

基本姿勢
・うつ伏せの姿勢で両肘を肩の真下について、頭からかかとまで一直線になるよう姿勢を保ちます。
・お腹とお尻に力を入れ、腰が反ったり背中が丸くならないように注意します。
・まずは、この姿勢で10秒キープを2〜3セット行ってみましょう。
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1セットあたりの時間を長くする

・10秒キープの姿勢でもキツさを感じなくなってきたら、次のセットは20秒、さらには30秒と時間を伸ばして行いましょう。
・「10秒できたから次は1分!」など、急激に負荷を増やさないように注意しましょう。漸進性の法則に基づいて、負荷は徐々に増やしていきましょう。

セット数を増やす

・2〜3セットに慣れてきたら、次のトレーニングでは4〜5セットとセット数を増やして行いましょう。また、各セット間の休憩時間を短くすることで負荷を高めることができます。

エクササイズの難度を上げる

①3点支持
・エルボー・トーの基本姿勢は、両肘・両つま先の「4点支持」です。この姿勢から片方の腕を伸ばし、片肘、両つま先の「3点支持」の姿勢を作りましょう。
・姿勢が崩れないように気をつけましょう。お尻が上がったり、腰が反らないように注意します。
・両肘、片足の3点支持の姿勢にもチャレンジしてみましょう。

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②2点支持(オポジット)
・3点支持の姿勢に慣れたら、次は右肘と左足、左肘と右足の2点支持の姿勢で行ってみましょう。

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トレーニングの注意点

すべてのトレーニングに言えることですが、まずは「基本」を正しく行うことが重要です。今回例に挙げた体幹トレーニングも、基本姿勢が正しくできていないのに、エクササイズの時間を伸ばしたり、セット数を増やしても、効果的なトレーニングにはなりません。間違った姿勢でトレーニングを続けると間違った姿勢が身につきます。まずは正しい姿勢を確実に身につけて、少しずつ成果を確認しながら負荷を増やしていきましょう。
冬期トレーニングは、春先のシーズンで結果を出すための土台作りです。その中で、継続してトレーニングに取り組めるように、しっかりとしたトレーニング計画のもと取り組みましょう!