多くの種目でオフとなるこの時期に、筋肉量を増やしたいと思って日々トレーニングに励んでいる人も多いのではないでしょうか。必要となる筋肉量や筋肉バランスは競技や種目によって異なりますが、筋肉量を増やすことは、パフォーマンスを向上させる大きな要因となります。皆さんは筋肉量を増加させるために食事ではどのような工夫をしていますか?

まずは、食事量の確保!~普段の食事量を見直しましょう~

筋肉量の増加のためには、まずは食事量(エネルギー量)の確保が必要になります。下図のように、「食事量<トレーニング量」となっている状態では、筋肉を作るための材料が不足しているため、筋肉量の増加は望めません。筋肉量を増加させるためには、「食事量 > トレーニング量」の状態にする必要があるのです。「食べているのに大きくならない…」という選手は、食事量とトレーニング量が釣り合っている「食事量=トレーニング量」の状態といえます。
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筋肉量の増加に必要な栄養素

「ご飯やお肉などのおかずだけを多くとること=食べている」と考えてはいませんか?①主食、②主菜(メインのおかず)、③副菜(野菜のおかず)、④牛乳・乳製品、⑤フルーツをそれぞれバランスよく増やしていくことが筋肉量増加の1つ目のポイントです。

●たんぱく質
たんぱく質は、筋肉を作る材料として最も必要となる栄養素です。しかし、ご飯を少なくし、おかず中心の食事をしている人やプロテインに頼りがちの人は要注意です。トレーニングのために必要なエネルギー量が確保されていない状態で、たんぱく質を一生懸命摂っていても、そのたんぱく質は炭水化物と同じエネルギーとして利用されてしまい、筋肉量増加には繋がりません。プロテインは、必要な食事量が確保された状態で摂取して初めて、有効的に活用されるのです。

●ビタミンB6:鶏ひき肉、鶏レバー、マグロ
食品中のたんぱく質を分解し、身体のたんぱく質を合成する過程で必要となります。


また、筋肉量を増加するためにハードなトレーニングをしていることを忘れてはいけません。身体のメンテナンスも怠らないよう、食事でも心がけましょう。筋肉の修復・疲労回復を早めることが、筋肉量増加の2つ目のポイントです。

●ビタミンB1:豚肉、たらこ、玄米
・疲労回復

●カルシウム:牛乳、チーズ
・骨の強化、疲労骨折の予防

●ビタミンD:鮭、さば、イワシ、きのこ
・カルシウムの吸収をサポートし、丈夫な骨の形成を促します
・筋力を高めます

●鉄:豆製品(納豆・厚揚げ・豆乳)、青菜(ほうれん草、小松菜)
・貧血予防(貧血の状態では疲労回復が遅くなります)

食事のタイミング

筋肉の修復のためは素早い栄養補給が大切です。トレーニング後2時間以内に食事を摂りましょう。2時間以内に食事が摂れない場合は「補食」を活用します。食事量が不足してしまう場合にも、補食で食事量を増やしましょう。(ディスパッチVol.96 2015年4月号参照)
トレーニングで疲れてしまい、一度に食事をとることができない時や、なかなか増量できない人は、食事の間(休み時間)や練習前のタイミングで補食を活用するとよいでしょう。

タイミング別おすすめの補食

それでは補食として何を食べればよいのでしょうか。
練習前と練習後で補食を摂る目的も異なります。

練習前:トレーニングを乗り切る、食事量の確保

炭水化物×即効性
あんぱん、カステラ、
お団子、エネルギーゼリー
炭水化物×持続性
おにぎり
(梅、昆布、焼きおにぎり)

練習後:筋肉量増加のために素早い回復と修復

炭水化物×たんぱく質
おにぎり(鮭)、納豆巻き、肉まん、サンドウィッチ(ハム、照り焼きチキン)
カルシウム×たんぱく質
牛乳、飲むヨーグルト、ヨーグルト、チーズ(ベビーチーズ、さけるチーズ)

筋肉量は増やしたいけど体重維持

「筋肉は増やしたいけれど体重は維持したい…」特に女子アスリートのみなさんに多い悩みではないでしょうか。まずは、毎日体重測定を忘れずに行い、体重が維持できているかを確認することが大切です。体重が維持できていれば、食事の量は問題ありません。
また、食事の量よりも質にこだわりましょう。食事の質は今回の内容を参考にしてみてください。体重維持ができる食事量を保ちつつ、その中身を変えていくことで筋肉量増加に繋がります。


この時期は、身体作りのための重要な期間です。しかし、どんなに一生懸命トレーニングを頑張っても、間違った食事をしていると、その効果は台無しになってしまいます。トレーニングと食事をセットで考え、トレーニングの効果を最大限に自分のものにしましょう。