まもなく梅雨明けとなりますが、これからは全国的にも熱中症関連のニュースが増えてきます。万が一、自分の大切な仲間が熱中症になってしまった時に適切な対処ができるよう、応急処置の方法とポイントをおさえておきましょう。

熱中症とは

熱中症とは、暑さによって生じる障害を総称したものです。運動をすると大量の熱が発生します。一方で、人の体には体温が上昇しすぎないように熱を放散する機能が備わっており、体温を一定に保とうとします。暑さにより体温調整が破綻し、発生する熱の量が放散する量を上回ると、熱いままの血液が全身をめぐり、体内に熱がこもることで熱中症が発生します。
(熱中症の症状と水分補給についてはディスパッチVol.87 2014年7月号参照)

熱中症になってしまったら

暑い時期の運動中に、熱中症を疑う症状が見られた場合は、まず重篤であるかどうかを判断する必要があります。

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1.意識障害の有無を確認
耳元で声をかけ、反応があるかどうかを確認します。応答が鈍い、言動がおかしい、意識がないなど、少しでも意識障害がみられる場合は、生死にかかわる重篤な症状です。すぐに救急隊を要請しましょう。

1で救急隊を要請する場合

2.涼しい場所への避難
救急隊の到着までは涼しい場所へ移動させます。学校であれば保健室や職員室などのエアコンが効く部屋へ移動させ、エアコンが効く部屋がない屋外の場合は、日陰に移動させます。

3.脱衣と冷却
涼しい場所へ移動させたら、衣服を緩めて足を高くして寝かせ、スポーツドリンクなどで水分と塩分を補給します。ベルトや靴下、時計などを着用している場合は外しましょう。また、首、わきの下、股関節(脚のつけ根)、膝裏、足首など太い血管を冷却し、急速に体温を下げることが肝心です。直接水をかけたり、濡れタオルを当てたりすると、気化熱により体温が低下しやすくなります。

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1で救急隊を要請しない場合

4.涼しい場所への避難
意識がはっきりしている場合でも、まずは涼しい場所へ移動させます。2と同様に、脱衣と冷却を行います。

5.水分・塩分の補給
脱衣、冷却を行ったら、スポーツドリンクなどで水分と塩分を補給します。この時に、吐き気などで水分補給が難しいような場合は、医療機関へ搬送します。大量に汗をかいたにも関わらず、水だけしか補給していない状況で、熱けいれんが疑われる場合には、低ナトリウム血症になる恐れがあります。生理食塩水や濃い目の食塩水で、水分と塩分を摂るようにします。
※血液中の塩分濃度が低下した時に起こるもので、痛みを伴う筋けいれん(こむら返りのような状態)がみられる

6.症状改善の有無
これらの処置を行って経過観察を行います。症状が改善しない場合は、医療機関へ搬送しましょう。症状が改善した場合でも、当日・翌日のスポーツ参加は中止し、経過観察をします。

AEDとの併用

意識がない場合は、救急隊の要請だけでなく、AEDの準備を行います。さらに正常な呼吸がない場合はAEDを装着します。(AEDの使用方法はディスパッチVol.98 2015年6月号参照)この時、乾いたタオル等で前胸部の水分を十分に拭き取ることがポイントです。体に水分がついた状態では、電気が体表面の水分を伝わってしまい、効果的な電気ショックが心臓に届きません。

このように、万が一に備えて応急処置の方法を覚えることはもちろんですが、実践していないといざという時になかなか対応できないものです。各学校やチームの中で、緊急時にどのような対応をするか話し合い、年に1回は指導者や生徒も交えて、実際に練習するようにしましょう。