
今回は改めて体幹トレーニングをテーマに取り上げ、走りに欠かせない体幹や股関節を活性化させるためのトレーニングとそれらを練習に取り入れるタイミングについてお伝えします。
目次
・「体幹」とはどの部分か?
・体幹の役割とは?
・主練習の前に、姿勢チェックの意味を込めて行ってみよう!
・大切なのは「What×How」の考え方
・柔軟性やコントロール能力も重要
・姿勢の意識に繋がる活性化トレーニング
・主練習前に体幹トレーニング実践中!
「体幹」とはどの部分か?
姿勢の保持に関わるインナーマッスルと体を動かす時に大きな力を発揮するアウターマッスルのどちらも含まれます。
体幹の役割とは?
①姿勢の保持 前後左右にブレない体の軸を作る
②力の発揮 大きな力を生み出す
③力の伝達 全身を連動させて効率よく動かす
主練習の前に、姿勢チェックの意味を込めて行ってみよう!
体幹トレーニングのタイミングは主練習前? 後?
先行研究では、腹横筋と呼ばれる腰椎の安定に関わる筋肉は、他の筋肉に先立って収縮を起こし、脊柱の安定性を高めることで、人は四肢を動かすことが可能と言われています。つまり、主練習の前に体幹トレーニングを取り入れることで、体を支える筋肉に刺激が入り、より姿勢の意識がしやすくなります。
ただし、この場合は、あくまで姿勢の確認・意識として取り入れているので、疲弊させることが目的ではありません。補強として行う場合は、主練習後やオフシーズンに取り組みましょう。
参考文献:
・Hodges PW and Richardson CA: Contraction of the abdominal muscles associated with movement of the lower limb. Phys Ther 77: 132–144, 1997
・Hodges PW and Richardson CA: Inefficient muscular stabilization of the lumbar spine associated with low back pain.
A motor control evaluation of transversus abdominis. Spine. 1996 Nov 15;21(22):2640-50.
大切なのは「What×How」の考え方
大事なことは、「何を行うか」だけではなく「どのように行うか」を考えることです。形だけ真似をしてフォームが悪いままだと、頑張っているつもりなのに無駄に疲れて、やった気になるだけです。トレーニングの内容と意識は掛け算です。体を動かすコツやポイントを意識して取り組むことでその効果は何倍にも大きくなります。また、体幹トレーニングと競技練習は別物として捉えず、体幹トレーニングで意識した姿勢や体の使い方が、練習の中で意識できているかを確認しましょう。
柔軟性やコントロール能力も重要
体幹を鍛えることで姿勢が良くなり、視野が広がる、無駄な動きがなくなるなど、プラスになることはたくさんあります。しかし、体幹が強いだけではなく、しっかりと動く体に体幹の強さが加わることで高いパフォーマンスが発揮されます。特にジュニア期では、体幹を強くする前に、肩周りや股関節の動的柔軟性や、体のコントロール能力を高めることをオススメします。まずは体幹を意識できること(普段から良い姿勢であること)を重視し、成長して体が大きくなってから強化に取り組みましょう。
運動の基本の「走る」という動作に関して、陸上競技で取り組まれている体幹・股関節の活性化トレーニングを紹介します。トレーニングの後に実際に走ってみて体の感覚を確かめてみましょう!
①股関節エクササイズ(動的柔軟性)
股関節の強化、動的柔軟性を高めるトレーニングです。
うつ伏せの姿勢から、膝を上半身に引きつけます。頭から伸ばしている足の踵までをまっすぐに保ち、引きつけている脚のつま先が下がらないように注意しましょう。
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②股関節エクササイズ(体の支持)
中臀筋などの体を支持する上で重要な筋群のトレーニングです。体で「T」の字を作るようにまっすぐに伸ばします。支持している脚のお尻部分が意識できているか確認しましょう。
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③ウォールドリル
ランニング時の姿勢や力を地面に伝える意識を持たせるトレーニングです。壁に手をついた状態で、体幹で支持することを意識して、頭から踵まで一直線の姿勢を保ちます。地面を押して壁を前に押し出すイメージで行いましょう。
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主練習前に体幹トレーニング実践中!
「体幹から力を発揮し 体幹から前方に移動していく」

仙台育英学園高等学校
陸上競技部顧問
菅原 新 先生

この3つに分けて体幹トレーニングから動き作りを実践