一歩目の動き出しのスピード、素早い方向転換、様々な方向へのスピーディーかつスムーズな移動、どれもスポーツに欠かせないスピード能力です。
しかし、実際のスポーツの動きはこれらの能力が複雑に絡み合っているため、具体的にどんなスピードが必要なのかを競技中に評価することは容易ではありません。
そこで、スピードが上がらない原因や自分に必要なスピード能力を把握する方法として、トレーニングの現場では、コントロールテストやフィジカルテストと呼ばれる様々な測定が活用されています。
今回は、「スクエアアジリティ」を例に、自分に必要なスピードをチェックする方法や、スピードアップにつながるトレーニングの方法をご紹介します。

目次
スクエアアジリティをやってみよう!
スタート姿勢のパワーポジションができているか
シンアングル(すねと地面の角度)を意識できているか
方向転換時のバランスはコントロールできているか
素早いサイドステップができているか
「数字に表れない部分」も重要!

スクエアアジリティをやってみよう!

スクエアアジリティの動きには、多方向に動くスポーツに共通するいくつかのポイントがあります。自分ができている部分、できていない部分をチェックしてみましょう。

用意するもの
・ストップウォッチ
・メジャー
・マーカー


[動画がご覧いただけます]

測定方法

  • マーカーを5m間隔で正方形に配置します。
  • 四辺上を、前方はダッシュ、側方はサイドステップ、後方はバックランで周り、1周のタイムを計測します。
    (時計回り、反時計回りの両方を測定)

スタート姿勢のパワーポジションができているか

パワーポジションとは最も力を発揮しやすい姿勢のことです。


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●ボールと一緒に上下に移動するイメージで行う
●膝を曲げるというより、股関節を折るイメージで腰を落とす
●ジャンプの時の立ち上がりのスピードを意識する

シンアングル(すねと地面の角度)を意識できているか

スタートからの加速をスムーズにするためには、シンアングルを前に傾けて、地面を力強く押すことが大切です。


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●パワーポジションからのスタートを意識
●地面を押して体を移動させる
●スタート後の前傾姿勢(頭から踵までが真っ直ぐ)を意識

方向転換時のバランスはコントロールできているか

素早い方向転換を行うためには、次に進む方向に移動するための姿勢の準備が大切です。


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●頭の位置や目線を安定させて左右にフラつかない
●接地した脚に体重が乗りすぎないようにする
●接地時間はなるべく短く、リズミカルにジャンプ

素早いサイドステップができているか

膝から下の動きだけでは、大きな力は生み出せません。股関節をダイナミックに動かしましょう。


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●後ろ脚で地面を押して移動する
●後ろ脚は地面を押した後、素早く前に引き上げる
●上下に弾む動きではなく、水平に移動するように意識する

「数字に表れない部分」も重要!

多くの測定では、距離やタイムなどを測って、結果を数値として表します。トレーニングの成果や自身の現状を目に見えるようにすることは大切ですが、トレーニングの目的は数値を良くすることではありません。スクエアアジリティでは、タイムを計測して数値にすることはもちろん、「動き方」をチェックすることで、動きのスピードを高めるための課題を見出すことができます。また、ダッシュや方向転換、多方向への動きが含まれるスポーツのアジリティトレーニングとしても活用できます。



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