7月に入り暑い日々が続きます。トレーニングに励む皆さんは、この「真夏」の時期をどのように準備して乗り切りますか? 夏休みに突入する前に、食事の面からも暑さ対策をして挑みましょう!

夏バテと熱中症の関係は?

食欲がわかない・全身のだるさが抜けない・なかなか寝付けない・やる気が出てこない… これらは夏バテのサインと考えてください。気温と湿度が高い屋外とエアコンを効かせた室内の行き来により、「自律神経」のコントロールが悪くなり、これらのサインが出始めます。

熱中症は、「高温・多湿・無風」の環境でのトレーニングによって、体温上昇→発汗→脱水症→発汗が止まる(身体からこれ以上水分を放出できないため)というサイクル(図1)で起こりますが、夏バテは熱中症(Ⅰ度)※の繰り返しと生活環境の中で徐々に引き起ります。

※参照)熱中症診療ガイドライン2015
日本救急医学会

自律神経のコントロールが悪くなってくると、胃腸の働き(消化吸収能力)が低下します。また、食欲が低下している場合は食事量が減りやすくなるため、エネルギー・栄養素の不足に繋がります。この状態では身体の回復が追い付かず、質の高いトレーニングを積むことはできませんね。7月の過ごし方によっては、8〜9月の体調不良を引き起こしかねません。現在の睡眠や食事など生活の質を見直しましょう!

夏バテ予防のコンディショニング

①水分・ミネラルの補給の仕方
水だけの給水では、汗により失われたミネラルを補うことができず、熱中症に繋がりやすくなります。必ず水分と一緒にミネラルを補給するようにしましょう。また、水分を素早く吸収させることも重要です。水だけや甘すぎる(糖度の高い)飲料は吸収に時間がかかるため、胃が重くなりトレーニングの妨げになる場合もあります。適度な塩分と糖分の含まれるスポーツドリンクを飲みましょう。また、熱中症(Ⅰ度)※の時には経口補水液の活用を心がけましょう。

▷▷▷▷STOP!◁◁◁◁
日常生活では冷たい飲料は控えるようにしていますか? トレーニング以外の場面で、冷たい飲料を飲み過ぎると、身体が冷えることなどから胃腸の働きを低下させます。また、過剰な水分摂取により胃酸が薄まることで、消化機能を悪くすることもあります。
熱中症対策として水分補給は大切ですが、トレーニング前後の体重変動から、日常の水分補給の量、質を考えましょう。

②夏場に必要なエネルギー・栄養素量の確保はできていますか?
【ポイントは朝ごはん!】朝食を食べることは、トレーニング時に必要な水分やミネラルの補給になり、熱中症、夏バテの予防に繋がります。暑さのせいで寝付けなかったり、気持ちよく起きられず、なかなか食事がのどを通らない日も、果物(オレンジ、スイカ)や夏の野菜(きゅうり、トマト)だけでも取り入れることで、水分やミネラルの補給になります。また、増量を目的として夕食の量を増やしている場合、胃腸の疲れがたまりやすい状態となる選手もいるため、朝食の量を今一度見直し、一日の食事量のバランスを取るようにしましょう。

③胃腸のコンディションをよくする料理は?
「うま味」成分であるグルタミン酸は、胃腸の働き(消化吸収能力)を良くすると言われています。肉や魚にも多く含まれていますが、「味噌・昆布だし」 にも多く含まれるため、食欲が落ちている初夏は、「味噌汁」を飲むことで水分・ミネラル補給を行いつつ、胃腸のコンディションを整えてみてはいかがでしょうか。
また、食欲が無い時に麺類を選ぶ方も多いと思いますが、味付けに「めんつゆ(昆布だし・かつおだし)」、「味噌」を選ぶことで、コンディショニングに一役買ってくれるかもしれません。

長芋の冷や汁

材料(4人前)
・長芋 160g
・(A)水 汁椀4・1/2杯
  だし(顆粒タイプ) 小さじ2
・かつおぶし 2袋(小)
・味噌 大さじ2
・すりごま 小さじ2
・飾り用(トマト、オクラなど)

作り方
1.鍋に(A)を入れ、火にかける
2.長芋の皮をむき、千切り(長さ5cm程度)にする
3.1の鍋が沸騰したら、かつおぶしを入れ1分ほど加熱する
4.火を止め、味噌を溶かす
5.氷水にあて、4の鍋を冷やす(短時間で冷やしたい場合は、直接氷を入れる)
6.汁が冷えたら長芋、すりごまを入れて完成!
 (今回はアレンジでトマト、オクラを添えました)

飾り用のトマトやオクラも夏バテ予防に良い食材です!トマト、オクラ、長芋は消化機能を高める働きがある食材です。暑い時期にはなかなか味噌汁は飲みづらいですが、冷や汁にすることで胃をクールダウンしてみてはいかがでしょうか。

鶏むね肉となす味噌和え

材料(4人前)
・鶏むね肉 300g(約1枚)
・(A)酒 大さじ1
  しょうゆ 大さじ1
  塩、砂糖、すりおろし生姜
  各小さじ1/2
・なす 2本
・しそ 2枚
・(B)だし(顆粒タイプ) 小さじ2
  味噌、しょうゆ、酒 各大さじ1

作り方
1.鶏むね肉は皮をとり、(A)と一緒にポリ袋に入れ、冷蔵庫で5分ほどおく
2.なすは縦半分に切り1cm幅の半月切りにし、しそは千切りにする
3.2のなすとしそを耐熱皿に広げ、混ぜ合わせた(B)をかけ、
 ふんわりとラップをし、電子レンジ(500W)で6分ほど加熱する
4.1の鶏肉を袋から取り出し、ラップで包み、耐熱容器に移して電子レンジで5分ほど加熱する(そのあと5分ほどおいておくと、しっとりとした出来上がりになります)
5.加熱した鶏肉を切り、3と一緒に器に盛りつけ完成!

暑い日が続く時は、火を使わない料理をしたいですよね。電子レンジを使い短時間で調理しましょう!胃腸のコンディションを整えるアレンジとして、大根おろしをトッピングすることもおすすめです。食欲がわかない時は、辣油や唐辛子などの辛味を加えると良いですよ。