新しい学校生活のスタートとともに、運動部に入部して部活動を再開する新入生も多いでしょう。受験勉強でしばらく運動から離れた生活を送ってきた新入生にとって、久しぶりの部活動につきまとうのが「筋肉痛」ではないでしょうか。練習を頑張った翌日は筋肉痛がひどくて、朝も起き上がれないということも珍しくないはずです。
筋肉痛が起こる原因やメカニズムは医学ではっきりと解明されていません。一般的によく知られているのが、(説1)筋肉を動かすことで「乳酸」が溜まり、中性であった筋肉が酸性となることで筋肉が固くなり、炎症や痛みを引き起こすとされる説です。また他の説では、(説2)伸縮運動などにより、筋に小さな断裂が起こって筋繊維が傷み、それを再構築するために一度筋肉が分解され、筋肉が縮んでしまうために筋肉痛が起こるとも言われています。
今回は、毎日のトレーニングを効果的に行うために、筋肉痛が早く回復するとされる方法をいくつかご紹介します。

軽めの運動をする

普段の生活でも乳酸は作られますが、その乳酸は血液によって体外に放出されています。しかし、運動によって急激に作られた乳酸は、血液が回収して放出しきれず、血液中に残ってしまうために、筋肉が酸性から中性に戻れない状態になってしまうのです。(説1による)
筋肉痛だからという理由で放置しておくと、筋肉はさらに固くなってしまいます。体の調子を見ながら少し動かしてみましょう。有酸素運動を行うことで、血液の循環が良くなり、溜まった乳酸を放出しやすくなります。軽いウォーキングやランニングなど、無理しない程度に運動してみましょう。ただし、急激な運動はさらに筋肉を傷めてしまうことにつながるため、軽めの有酸素運動が良いとされています。
また、縮んだ筋肉を伸ばして血流を良くするために、ストレッチも有効とされます。ただし、急激に伸ばしてしまうとかえって筋肉が縮こまってしまうため、徐々に伸ばすようにしましょう。

お風呂で筋肉痛を緩和する

筋肉痛が起きてしまった時には、冷たい水とお湯を交互に浴びることが効果的です。これにより、末梢血管が広がるため、筋肉痛が緩和すると言われています。
自宅でできる方法として、冷たい水(シャワー)を1分、湯船で浸かることのできる温度のお湯を3〜4分、交互に筋肉痛の起きている場所に施すと効果的です。4〜5回ずつ行えば十分でしょう。
ただし、運動直後30分以内には行わない方が良いと言われています。運動直後の場合は、炎症部位の軽減や疲労部位の血流低下の除去を目的として、アイスバックや冷水を使用したアイシングが適しています。

自然治癒力に任せる

無理に動かさずに、しっかりと食事を摂って睡眠をとることも、筋肉痛の解消を早めるには重要とされています。特に、体を休めるためにも睡眠はしっかり取るようにしましょう。睡眠をとることで「成長ホルモン」が分泌されます。成長ホルモンには新陳代謝を活発化させ、疲労を回復し、肉体を治癒してくれる作用があります。成長ホルモンの分泌が最も活性なのは夜の22時〜2時と言われています。また成長ホルモンには、肌を修復したり、免疫力を強化してくれる働きもあるので、健康管理においても効果があります。
時には筋肉痛がひどくて眠れないということもあるかもしれません。本来は自然治癒力に任せるのが一番ですが、痛みの度合いによっては鎮痛剤を服用することも必要になってきます。しかし、これはあくまでも応急処置であり、筋肉痛が完治したわけではありません。治ったと思って体を動かし過ぎて、鎮痛剤の効果が切れた時に驚くくらいに痛みを感じるということもあります。鎮痛剤を服用した場合には、できるだけ安静にして自己回復力に任せることが必要です。

黒酢を飲む

黒酢に含まれるクエン酸には乳酸を分解する効果があると言われています。レモンや梅干などにもクエン酸が含まれますが、黒酢は特に多いようです。黒酢には乳酸の分解以外にも、血行促進、代謝を良くする、肩こり・腰痛・冷え性の改善などの効果もあります。明日は筋肉痛になるかもしれないという日に、黒酢を飲んでおくと良いでしょう。ただし、そのまま飲んだり、あまり多く飲みすぎると胃痛が起きることもあるため、水で薄めたり、食後に飲むことをおすすめします。 また、空腹時に原液で飲むことを続けていると、慢性胃炎になってしまうこともあります。もともと胃が弱い人は、さらに薄めて黒酢の量を少なめにした状態で飲むと良いでしょう。

筋肉痛に良い食べ物

筋肉痛を回復させるために、効果的な栄養素を含んだ食事を摂ることも効果的です。代表的な筋肉痛回復に良いとされる成分と食材をご紹介します。

タンパク質(肉、魚、大豆)
ビタミンB1(ウナギ、豚肉、レバー)
ビタミンB6(にんにく、とうがらし、サンマ)
クエン酸(グレープフルーツ、レモン、梅干し)

筋肉痛の回復を期待していても、なかなか回復せずにイライラしてしまうこともあるかもしれません。しかし、筋肉痛の状態は、自分の体が精一杯元に戻ろうと努力をしているということを忘れないでください。そして筋肉痛になるほど、自分はこれだけトレーニングしたのだと思うことも必要です。筋肉痛が起きたら、少しでも早く治したいと思うのが普通の考えですが、焦ることにより、ストレスになってしまいます。そうならないためにも、自分の体と向き合い、リラックスしながら回復を促すようにしましょう。