クレーマージャパン クレーマージャパン

講演より(一部抜粋)01.06.03
小出 義雄 (こいで・よしお)
1939年生まれ。千葉県出身。
積水化学陸上部監督

皆さん、私のような者の話しに集まってくれてありがとうございます。いや〜、クレーマーのウエア(サーキュレーション)は、Qちゃん(高橋尚子選手)が大好きでね、毎日、練習の時には必ず着るんですよ。真夏でも。だから、今Qちゃんはアメリカで走り込みをしている大切な時期なんだけど、「クレーマーさんのためなら監督、ぜひ行って来てください」って言われてきたんです。

今日もQちゃん、「50キロ走った」って言ってたから、抑えてばかりです。朝練です、と言って30キロくらい、走っちゃうんだから。強くなる、ってことは難しいことだとは思わないんです。何でも、常識はずれ、が大切ですね。だって、私は随分無茶なことをしてきましたから。初めて勤めた学校では、砲丸投げやヤリ投げの子がいてね。「先生、どうやって投げるんですか?」というから、これを見ろ、と陸上の雑誌を見せる。「どのくらい投げるんですか?」というから、私、知らないから、毎日120本投げろ、って答えていた。来る日も来る日も。あとで専門家に聞いたら、30本くらいが一番いいんだってね。でもね、その子達、国体で2位とか、全国高校大会で3位とか、そんな成績とっちゃったんですよ。

Qちゃんもね、偉い学者さんからいわせると、高い場所で走る(高所トレーニング)なら2000mくらいが限度だって。でも、3500mくらいを走って、強くなったんだね。今度は4000mくらいを走ろうと思ってるんですよ。常識に従ってちゃ、世界では勝てない。それからね、選手をきちんと見てあげること。毎日、しっかりと見てあげたら、ほとんどの事がわかるんですよ。握手すれば体温もわかりますからね。だって、選手が一番大切なんです。そして練習が大切なんですよ。

私はそのことばかり、ずっと考えてきて、いい選手が育ったんですね。そうしたら、必ず強くなれますよ。え?マラソンが強くなるには?それはね、たくさん食べることですよ。今の高校生、やせすぎ。食べなさすぎ。高校までは5000mが速いんだけど、あれじゃ、高校を卒業してから強くならない。絶対だめだよ。すぐに骨折をしちゃうんですね。骨を強くするには、食べること。 女の子はみんな、食べたいんだから、食べさせないでストレスをためさせたら、いいことなんて何にもないんですね。そこのところを間違えないことが重要なんです。