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■質のいい睡眠をとるために

●睡眠について
まず始めに、一日の中で大切な休息時間となる睡眠について触れてみましょう。考えて見れば人間の生涯でおよそ3分の1は眠った状態で過ごしているのですが、この睡眠は毎日の生活のなかで脳や身体の疲れをとるためにかかせない人間の生理です。
睡眠についてはまだまだわかっていることが少ない神秘の領域です。この睡眠中の状態を説明するためによく使われているものにレム睡眠とノンレム睡眠という区分があります。レム睡眠というのは急速な眼球運動 (Rapid Eye Movement、REM) をともなう睡眠で、そのような眼球運動がみられないものをノンレム睡眠と呼ぶのです。
レム睡眠中には筋肉はリラックスしているのに脳が活発に活動しているのに対し、ノンレム睡眠中に脳はその活動を鎮静化します。睡眠中この二つの状態が繰り返し起こっているのです。そして、身体を休息させるというよりは脳を休息させるという意味合いが強いようです。
いずれにせよ、一日の疲れを効果的にとるためには質のいい睡眠をとることは重要な意味をなします。カフェイン入りの飲物など興奮性の成分が含まれている食品、または心配事など心理的に不安定な状態もこの眠りの質を低下させることになります。眠る前にぬ るめのお風呂にはいったり、布団や枕など身体にあったものを選ぶことも大切です。ここで、身体をリラックスさせるためによく用いられるプログレッシブリラクゼーションテクニックを紹介しましょう。心が不安定な時、睡眠前などに行うと身体をリラックスさせることができます。

始める前に:
  1. 静かな場所でリラックスできる心地よい姿勢を取る。締め付けるところのない服装で、照明は薄暗くする。眼鏡やコンタクトレンズ、また腕時計なども全てはずしておく。
  2. 軽く深呼吸し、できるだけ力を抜く。
  3. 全身に気を配り、筋肉に緊張しているところがないか探ってみる。
  4. 一連の流れで行う筋肉の緊張においてはできるだけ局所のみを緊張させ、それを意識することに注意する。それぞれ最低5秒間は持続させる。
  5. 筋緊張を解いていく際は、完全に力が抜けその部位 が重たくなっていくような感覚を持つ。リラックスしている感覚を覚えること。
  6. 次に該当する人は行わないこと
     ・骨粗鬆症の人
     ・てんかんなどの既往症がある人
     ・全般性不安障害のあるひと
     ・筋骨格系に障害のある人
     ・インシュリンやベータブロッカーなどの薬物を使用している人

■部位別リラクゼーション法

それでは、実際に各部位ごとのリラクゼーション法を試してみましょう。
  • 腕のリラクゼーション
    1. 両手を握りしめる。握りを徐々に強くしていき、手と上腕に緊張をしっかり感じるようにする。
    2. ゆっくりと手を開き緊張を解いていく。手と上腕に全く緊張が残らなくなるまで緩めていく。
    3. 手と上腕がどれだけ柔らかくリラックスしているかを意識する。
    4. 両肘を曲げ、上腕二頭筋(力こぶ)を最大限緊張させる。
    5. 腕を伸ばして緊張を解く。上腕二頭筋の緊張が全く無くなることを意識する。
  • 腕のリラクゼーション
    1. 額にしわを作り最大限緊張させる。
    2. 緊張を解き、額と顔を完全にリラックスさせる。
    3. 眉を寄せるように力を入れ(眉をひそめる動作)、目と眉毛の間を最大限緊張させる。
    4. 完全に緊張を解き、無表情になるよう顔をリラックスさせる。
    5. 目を最大限の力を入れて閉じる。
    6. 目を閉じたまま、完全に緊張を解いていく。
    7. あごに緊張を感じるよう強く歯を食いしばる。
    8. リラックスする。唇がわずかに開いている状態で無表情にし、顔全体を完全にリラックスさせる。
    9. 舌を口内の上壁にできるだけ強く押し付ける。舌と口に緊張を感じるようにする。
    10. 口、舌、そして顔全体をリラックスさせる。
    11. 唇を力いっぱいすぼめる。他のところに力が入らず唇だけ緊張するようにする。
    12. リラックスする。唇がわずかに開いている状態で無表情にし、顔全体を完全にリラックスさせる。
  • 首と肩のリラクゼーション
    1. 頭を後ろに押し付けるように力を入れる。首を最大限緊張させ、それを意識する。
    2. 完全にリラックスするまで徐々に力を抜いていき、力が抜けていることを意識する。
    3. あごを引きのど元に押し付けるように最大限力を入れる。のどや首の横から後ろが緊張していることを意識する。
    4. ゆっくりとあごを元の状態にもどし、完全にリラックスする。
    5. 肩先が近づくように肩をすぼめる。最大限力を入れる。
    6. ゆっくりと肩を元の位置にもどし、完全にリラックスする。
  • 呼吸と体幹のリラクゼーション
    1. 体幹が完全にリラックスし、体が重たく感じる状態で呼吸に意識を移す。肺をいっぱいに広げるよう息を吸い込み、胸部に緊張を感じるようにして5秒間こらえる。
    2. ゆっくりと息を吐き、緊張を解いていく。
    3. こらえていた息を吐くときに、だんだん緊張が開放されていくことを意識する。
    4. 胃を押し下げるような感覚で腹筋に最大限の力をいれる。腹側、背側ともに緊張していることを意識する。
    5. 緊張を解き、完全にリラックスする。
    6. 背中を反らせ、後ろに押し付けるように力を入れる。背中は過伸展しないよう適度なアーチを作る。背骨の回りの緊張を意識する。
    7. 背中が沈んでいくように力を抜いていき、完全にリラックスする。
    8. お尻を前に突き出す感じで腰部を後ろに押し付ける。最大限力を入れる。
    9. ゆっくりと元の姿勢に戻し力を抜いていく。完全にリラックスし、すでにリラクゼーションを行った部位 に緊張が生まれていないか探ってみる。もし緊張を感じる部位があれば、もう一度リラクゼーションを行う。
  • 臀部と大腿部のリラクゼーション
    1. お尻の筋肉を最大限緊張させる。
    2. ゆっくりと緊張を解き、完全にリラックスする。
    3. 膝を伸ばすように太ももの前面を緊張させる。
    4. ゆっくりと緊張を解き、完全にリラックスする。全身がリラックスしていることも意識する。
    5. 踵を後ろに押し付けるように太ももの後面を緊張させる。
    6. ゆっくりと緊張を解き完全にリラックスする。全身がリラックスしていることも意識する。
  • 下腿と足部のリラクゼーション
    1. つま先から足首を最大限の力を込め伸ばす。ふくらはぎが緊張していることを意識する。けいれんを起こさないよう注意する。
    2. ゆっくりとつま先を元の姿勢にもどし、緊張を解いていく。完全に力が抜けていることを意識する。
    3. 足首は伸ばさずに、足の指だけに最大限の力を入れて底側に曲げる。
    4. ゆっくりと足の指を元の姿勢にもどし緊張を解いていく。完全にリラックスする。
    5. つま先を手前に引くように足首を曲げる。足の指、足首、脛に力が入っていることを意識する。
    6. ゆっくりと足の指を元の姿勢にもどし、緊張を解いていく。完全にリラックスする。全身が完全にリラックスしていることも意識する。